介護生活支援・医療サービスの最適な連携を目指して

北海道 函館市

医療法人社団 向仁会

理事長 阿部 智哉 様

当法人は、北海道函館市において介護医療院、住宅型有料老人ホーム、グループホーム等を運営している医療法人です。当法人がある南北海道も他の地域と同様にもしくは当法人がある南北海道とて例外ではなく、他の地域と同様に、後期高齢者が激増している状況にあります。これに伴って、80歳を過ぎると身体介護を必要とされる寝たきりの後期高齢者や認知症等心身的な衰え(加齢に伴って生じる骨格筋量と骨格筋力の低下=サルコペニア)が顕在化する後期高齢者が急増する「重老齢社会」(後期高齢者が前期後期高齢者数を上回る社会)が南北海道にも到来しています。

このような状況下において、当地域では、人口減少・少子高齢化社会にマッチングした、将来に至るまで、継続・安定する介護生活支援・医療サービスの最適な連携を推進しつつ、利用者(日常生活を営むのに支障がある者:要支援・介護高齢者)が尊厳を保持し、可能な限りその居宅(集合住宅等)において、その有する能力に応じ、自立した日常生活を営むことができる『地域完結型生活モデル』のインフラ整備が課題と感じています。

地域医療に対する想いが同じベクトルを向いていると感じています

ヘルスケアマネジメントパートナーズ株式会社(以下、「HMP」)様に支援を依頼した背景としては、当法人の主要施設である介護医療院「喜郷(ききょう)」を核とする喜郷複合施設を2015年6月に竣工し、同年に有料老人ホーム「泰(ゆたか)」を核とする泰複合施設の大規模修繕を施し、事業拡大のために大きな投資を実行したため、2017年度の改定医療法によって当法人が監査対象となり、監査を通じて、一部資産の再評価を行ったことで、一過性の損失を計上することになりました。当法人としては、キャッシュフローは安定的であったものの、事業拡大プロセスにおいて、資金調達は必須な状況であったため、銀行側の与信拡大、当法人の選択肢の拡充に鑑みると財務状況(借入金の減少、自己資本比率の向上等)を大きく向上することにメリットを感じ、事業拡大の一環として、HMP様に流動化スキームをお願いすることとしました。

HMP様の関与後から月2回の経営戦略会議を実施しています。事業面では、各施設の月次のKPI・収支管理や分析をHMP様が行うことで、施設別の具体的な施策等を経営的な視点で議論できており、運営に生かされています。また、経営・財務面でも事実上同会議にて、決議が図られる体制が構築されています。

HMP様とも定期的にディスカッションを行っています。その中で、地域医療に対する想いが同じベクトルを向いていると感じており、当法人の将来的なビジョン・想いを共有できる先です。HMP様は全国の病院・介護施設と取引があるため、良い事例・情報を提供して貰えており、そのため、当地域における高齢者の「住」を安定的に提供できるインフラ整備、地域包括ケアシステムの構築については、具体的なアイデアに落とし込むことができています。また、3年ごとに改定する介護報酬を反映した将来の事業計画の策定をして貰っており、大変助かっています。

超少子化、高齢化、人口減少社会に順応するために

これからも地域社会が直面し続けていく超少子化、高齢化、人口減少社会に順応するべく、2022年4月に国内初の試みとなる地域包括支援センター機能と自立相談機関を一体化させた福祉拠点を開設しました。さらには在宅医療の要である無床診療所において、新たな診療科として整形外科もスタートしています。今後の目標としては、オランダ発祥の「ビュートゾルフ」のような、小規模専門チームが地域に密着し医療・介護・リハビリテーションを一体的に提供するため、医療介護複合施設をより拡大させ、地域包括ケアシステムの構築を推進していきたいと考えています。

医療・介護業界では、施設の老朽化・容量不足により、移転新設・増築等の大きな投資が伴います。従来、金融機関からの借入で賄うことが一般的ではありますが、財務諸表が傷んでいた場合等で、金融機関からの借入が難しい場合には、HMP様のようなファンドは必要と考えます。また、HMP様の関与後には経営戦略会議を設定し、経営的な視点で議論しており、コンサル的な側面もあるため、資金の調達から一貫して関与してもらえるファンドは今後もニーズはあると考えます。

医療法人社団 向仁会の概要

法人名

医療法人社団 向仁会

所在地

北海道 函館市

展開拠点/事業

・向仁会の施設
 グループホーム よろこびの家「栄」
 グループホーム よろこびの家「茉景」
 グループホーム よろこびの家「日吉」
 グループホーム よろこびの家「住慶」
 函館ファミリークリニック
 住宅型有料老人ホーム「泰」
 ディサービス 「寛ぎの翔輝」
 函館市地域包括支援センター「よろこび」
 よろこび定期巡回・随時対応型 訪問介護看護事業所
 居宅介護支援事業所「函館在宅ケア」
 ユニット型介護医療院「喜郷」
 介護医療院「喜郷II」
 指定訪問リハビリテーション「絆」
 サービス付き高齢者向け住宅「いこい」
 住宅型有料老人ホーム「ききょう」

・サポートライフの施設
 グループホーム 泰安の郷「海願」
 介護付有料老人ホーム 泰安の郷「和華竹」
 介護付有料老人ホーム 泰安の郷「舟海」
 ホームケア定期巡回・随時対応型 訪問介護看護事業所
 サービス付き高齢者向け住宅「なごみ」
 サービス付き高齢者向け住宅「福寿庵」

設立

1968年

※記事の内容は2023年2月時点のものです。