高齢化が進む地域で、医療から介護まで切れ目のないサービスを

診療報酬のマイナス改定が続いている中で、医薬品や診療材料を多く活用する循環器科は薬価差益の減少や診療材料償還価格の低下に伴う影響が比較的大きい領域です。各介護事業においても介護報酬が減少傾向となっており、当法人としては診療報酬及び介護報酬のマイナス改定の影響を強く受けざるを得ない状況です。さらに、人口動態からも当院に掛かって頂いている患者様の高齢化も年々進んでおり、治療単独ではなく、医療と介護の複合的要因による入院が多くなっていると感じています。医療の比重が下がっていくことで単価が低下していく傾向にあり、収入全体として減収となっています。
マイナス改定による影響及び高齢化の進展による売上げの低下に加え、介護施設建設及び運営による借入れの影響もあり、ヘルスケアマネジメントパートナーズ株式会社（以下、「HMP」）様に支援をお願いする運びとなりました。

HMP様に支援をいただく中で、旧経営体制から現在の経営体制へ移行し、硬直化していた法人運営がスムーズに行えるようになり、職員への情報伝達も整備され、法人内の状況が大きく変化致しました。そのことにより、職員も経営的な感覚（稼働率、平均在院日数、看護必要度、在宅復帰率など）を持って日々業務に邁進していると感じるようになりました。理事会含む会議にもHMP様に参加をお願いしていますが、月々の経営指標を含む具体的なデータを基に経営判断を行いながら運営を行っており、タイムリーな課題の把握、そして素早い改善に取組むことが出来ています。

また、事業の見直し及び統合を行ったことで、効率的な人員配置やサービス提供が可能になり、旧経営体制から引継いだ費用も整理することで経費等も圧縮することが出来ました。旧経営体制下では多くの要因から進めることが難しかった改革をHMP様に伴走して頂いたことで推し進めることができたことや、初めてお会いした時から、地域医療の継続や職員の安定した雇用確保等、当法人の思いや職員の思いを尊重して頂いたことが印象に残っております。コスト削減及び増収施策の実施による利益の向上といったことも当然重要ですが、経済合理性のみでは図れない地域性、当法人の存在意義及び目指すべき将来像まで考慮頂き、感謝しています。

高齢化の進展により独居形態が多くなることで、退院後すぐに自宅へ戻ることが出来ない方が増加しています。そのような患者様に対応していくために病床編成を行い、地域包括ケア病棟を整備しました。スムーズにご自宅での生活に戻って頂くために、退院までの間のリハビリまで対応することで、より地域の方が掛かりやすく、親しみやすい病院になっていきたいというのが職員一同の思いです。急性期～回復期を経て退院された後も介護施設をご利用頂き、在宅へ戻られてからも通所サービス又は訪問サービスをご利用頂くことで医療から介護まで切れ目の無いサービスを提供していくことで地域医療の継続に貢献し続けていきたいと考えています。

ヘルスケア業界に特化したファンドであることによって、医療機関単独では考えることが難しい財務内容の改善プランの作成及び実行、そして組織の存続及び発展を念頭に置いた抜本的な経営改革の断行まで一体として行って頂けることを実体験を通して感じました。さらに今後は、医療・介護領域においても法人又は事業の統廃合が進むと感じております。その中では、医療介護事業の特性を理解した上で、第三者的な立場で物事を進める必要があるため、銀行を中心とする既存の金融機関のみでは対応が困難な事象も生じてくると考えられ、HMP様のような資金調達と経営支援の双方対応可能なファンドはより必要性が増してくるのではと考えています。